エルゴノミックキーボードは普及するのか

昨今、一部でergodox が話題である。しかし、パソコンやキーボード売り場、職場や学校などおよそキーボードが存在する場所でエルゴノミックキーボードをまず見ない。ノートパソコンの新型の発売の度に毎回エルゴノミックキーボードを搭載したモデルが出てくるということもない。正確な数字は知らないけれどまず普及していないだろう。それとも、私の知らないエルゴの楽園がどこかにあるのか。

 

キーボードを売るに際し、エルゴノミック陣営はずっと体の負担が軽くなることをアピールしてきた。それを受けてキーボード入力作業で体に痛みを感じる人の中には乗り換える人もいただろう。しかしエルゴノミックキーボードはタイプライター風のキーボードを置き換える存在にはならなかった。取って代わろうなど最初から目指していないかのようでもある。

 

エルゴノミックキーボードが普及しない背景の一つにキーボードの乗り換えコストが高いというのがある。値段が高いということもあるけれど、マウスやジュスチャー操作と比べて、キーボードは慣れるまでの手間がかかる。せっかく慣れたタイプライター風のキーボードと違う形のものを後からわざわざ選び直す理由がない。エルゴノミックキーボードのなかにはキー配列は従来のものそのままにキーボード本体を右手側と左手側に分けるという形をとることで、乗り換えコストの低減を図っているモデルもある。でも売れているようには見えない。

 

私は時々、今現在の工業技術力のまま、キーボードが存在しない世界を思い浮かべて、スイッチを押す文字入力装置を初めて考案するとなったとき、今普及しているタイプライター風の、一段ごとにキーを半分ずらした配置をしたキーボードを提案したらどう扱われるだろうかと空想する。

 

タイプライター風の物理キーの並べ方はそれが作られた当時ならいざ知らず、今の工業技術からすると歪だと私は考える。これを業界標準として押し付けられるのは迷惑である。そこで、エルゴノミックキーボードが普及する方法を考えてみた。

 

乗り換えコストが高いなら乗り換えそのものを不要にすればいい。すなわち、初めてパソコンを触る、初めてキーボードを打つ、そんな人たちが最初に使うキーボードがエルゴノミックだった、という状況を作ること。そのために

  • 普及価格帯のモデルを作る

千円くらいでも買えるキーボードがある中でパソコン初心者が何万円もするキーボードを用意することをアテにするわけにはいかないので、普及価格帯のモデルを出す。

  • キーの物理配列を洗練させたエルゴノミックキーボードは手に覚えやすいことをアピールする

キーボードルーキーがタッチタイピングでのキーボードの入力操作に慣れるには手間がかかる。上の段からキー半分ずらしてキーを配置する、というのを繰り返すタイプライター風のキー配置は初心者にはわかりづらい。キー配置を整理しているエルゴノミックキーボードなら学習コストが低くなると宣伝すれば初心者の心は動くはず。

ちなみにパソコン初心者、キーボードルーキーの年齢層を高校生から社会人デビューまでくらいと想定すると、やれ肩が凝る、首が痛い、手が〜、といった体痛いアピールからの、これを使えば症状が改善しました的なエルゴノミック陣営お得意のストーリーの押し売りは二十歳前後の若者を取り込むには逆効果だと思うのでご法度な。

  • 擬人化する

パソコン初心者、キーボードルーキーの年齢層であれば、擬人化でおびき寄せるのも手。幸いエルゴノミックキーボードには、見た目が独特でキャラの立ったものが揃っている。艦これがありならエルこれもありだろう。知らんけど。

これらの施策が功を奏し、毎年キーボードデビューする者の十分の一でもエルゴノミックキーボード側に取り込むことができたならば、10年で状況は一変するだろう。するといいな。

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