Kinesis Advantage2 がやってくるので、現行モデルのおさらい
来月にも kinesis advantage の新モデル advantage2 が投入されるらしいので、型落ちになる前に現行モデルのレビュー。
フルキーボードとの比較
キーボードを打つ時に肩を楽にするために手の位置を左右に広げると良いというのは私には当てはまる。キーカスタマイズソフトを使って普通のキーボードで右手のホームポジションを一列右にずらしただけでも効果は感じられるから、肩がこる人は試しにやってみるといい。ただ肩幅まで広げることを目指すとなると kinesis advantage でも足りない。ergodox などの左右分離型のキーボードを導入するのが正解かと思う。
肩幅まで広げるとなると私の場合、右手はフルキーボードのテンキーに置くくらい間隔が必要だけれど、kinesis advantage の右手のホームポジションは、フルキーボードでいうと人差し指が矢印キーの←と↓の間くらいの位置になる。
指の負担
私が使っているのは茶軸だけれど、少なくとも kinesis だから自動的に指に優しいということはない。kinesis を使い始めたころ、担当する指によって生えているキーの高さが違うことから、一番低い中指担当のキーをよく空振りしていた。この空振りに対する答えが底打ち上等でキーを押し込んで打つという方針で、その甲斐あって空振りはなくなったけれど指の関節にやたらと響く、指に優しくないぞこのキーボード、というのが最初の印象だった。指の負担を減らすには弱い力でキーを打つ練習が必要かと思う。kinesis advantage が弱い力でキーを打つのに適しているのかどうかは分からない。キーの押下圧が茶軸より軽い東プレの30gのモデルのほうが指の負担は軽いという印象。軸がより軽いほうが指には優しいとなんとなく思っている。
打ちやすさ
一般的に普及している、キーがタイプライター風の物理配列のキーボードに比べればホームポジションから手を動かさないで打てる。
一般的なキーボードは奥側を高くするようなチルトスタンドが付いており、チルトスタンドを使わなかったとしても奥が高く手前が低い状態でキーを打つことになると思うけれど、kinesis advantage はホームポジションの奥側も手前側も高くなるので、手前を低くしているキーボードに比べて手前のキーがかなり楽に打てる。キーボードの手前を高くして打つ機会はあまりないと思うけれど、手前を高くする利点はもっと知られて良い。
数字の段の kinesis 純正の3と8のキーキャップつまり中指をまっすぐ上に上げて叩きに行くキーは、他の数字の段よりも低いキーキャップが使われており、3と8を押そうとすると指の腹ではなく爪が刺さって打ちづらい。これを回避するため背の高いキーキャップを別途用意するのが個人的にはお勧め。
親指キー
一見すると親指からアクセスしやすい位置に多くのキーを配置しているのが特徴のように思われるかもしれないが見所はそこではない。文字キーが配置されている場所と親指で押すキーの場所が同一平面状にない、ここがポイントである。つまり指を折りたたむ時の関節の向きが親指とそれ以外の指とで異なることを(完全にとは言わないけれど)ある程度考慮したキー配置になっている。手で入力するデバイスでちゃんと曲面を利用している kinesis advantage は優秀だなと思う。
片側6つある親指キーはホームポジションの位置だと私の親指の長さでは6つ全部には届かない。
親指側のキー全部を押しやすくする工夫としてはキーの高さが親指から手前は低く、奥は高くなるようにキーキャップの高さが変わっていけばいい感じになる。純正のキーキャップは一番遠い位置にあるキーと水平に並んでいるもう一つのキーの高さが揃ってしまっているので、ウレタンシートを貼り付けて一番遠い位置のキーの高さを盛っている。
キーリマップとマクロ
kinesis advantage にはパソコンを介さずに本体だけでキーリマップとマクロを設定できる機能がある。マクロに関しては、修飾キー2つ+1文字の3キー同時押しのショートカット操作のような、修飾キー複数押しをマクロで1ボタン化して3キー以上同時押しを2キー同時押しにしようとしたけれどうまくいかなかったので、マクロの使い道は私には見出せなかった。us 配列のキーボードだから、日本語入力切り替えのショートカットキーをワンショットで登録するのに使うくらいか。一方キーリマップ機能は使い方がとても簡単で、親指キー周りのリマップで重宝している。
アンチゴースト
キーを押した時に、異なる2つ以上のキーが同一の信号を発してしまうなどし誤入力が起きることを防ぐ機能は一般にアンチゴーストと呼ばれている。
kinesis advantage には文字入力用のレイヤーとは別にもう一つ、標準ではテンキーが仕込まれている別レイヤーが用意されている。テンキーを用意せずにテンキー機能が使えるので一時期便利に使っていたのだけれど、私の個体では再現性のある不具合が起きることがわかったのでテンキー機能の利用は断念した。
具体的に言うと NumLock をオンにして矢印キーを連打すると2、4、6、8のいずれかの数字が誤入力されることがある。同様にend、pagedown、home、pageup キーを連打すると1、3、7、9の数字が誤入力されることがある。つまり、文字入力中に矢印キーを連打するとゴーストが囁くのだ。私のkinesis にはゴーストがしっかり入っている。新型はファームウェアも更新されるらしいのでゴースト消えちゃうんだろうな。
フットスイッチ
レイヤーの移動は本体についているkeypadキーか、オプションで入手できるkinesis advantage 専用のフットスイッチで行う。専用というのはusb接続ではない、kinesis 本体に生えているシッポとつなぐタイプのもの。keypadキーとフットスイッチは振る舞いが少し異なり、keypadキーは2つのレイヤーをトグル、専用のフットスイッチは押している間だけ別レイヤー呼び出しである。そして、本体についているkeypadキーの機能を別のキーに割り当てることはできない。レイヤーの切り替え機能を任意のキーにリマップするには専用のフットスイッチを使う。足で押したいからフットスイッチを買うわけではない。
ちなみにフットスイッチを使ってレイヤー切り替え機能をリマップすると「押している間だけ別レイヤー呼び出し」ではなく「別のレイヤーに移動」になるので、2つのレイヤーそれぞれにフットスイッチの機能を割り付けないとレイヤーを行き来できないのでご注意。
ファンクションキー(通称ゴムキー)
上で説明したkeypadキーはファンクションキーの段に配置されていて、ここにあるキーは耐久性に難があると言われているゴムキーである。だから私はほとんどファンクションキーを使っていない。そして、このファンクションキーが advantage2 でメカニカルキーとして生まれ変わる。さようなら、ゴムキー。
Advantage2 function keys are done. Nice clicky cherry ml switches and bright multicolored lasered legends. pic.twitter.com/XBsy7u3g3u
— Kinesis (@kinesisergo) 2016年5月9日
kinesis advantage が合わない人
kinesis advantage が使いやすくない原因として思い当たることがあるとすると、
kinesis advantage はキーの位置によってキーが生えている向きが異なるという特徴があるけれど、キーを押すのに都合が良い指の進入角度というのがあって、その角度を得るためには手の向きを微妙に変えながら打つことになる。平らなキーボードでは行わない動きだと思う。ホームポジションに手の位置を固定して打とうとするあまり向きまで固定すると、指は届くけれど変な向きで押しに行って、手の筋を傷めるということがあるのかもしれない。
advantage2 が出たら買うの?
現行モデルがまだピンピンしているので買わないっす。